ALS(筋萎縮性側索硬化症)
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、神経難病の一つです。
脳からの命令を筋肉に伝える神経細胞(運動ニューロン)が障害される病気で、筋肉の萎縮と筋力低下が徐々に進行していきます。
数年前、世界各国で多くの有名人も参加した「アイス・バケツ・チャレンジ」というALSの研究資金を集めるためのキャンペーンはニュースでも大きく取り上げられました。
どんな病気か?
通常私たちは、自分の意思で手や足といった身体の部位を自由に動かすことができます。
これは、「手足を動かせ!」という命令が脳から運動ニューロンを伝って筋肉へ届くことで実現されています。
ALSの場合、脳からの命令を筋肉に伝える運動ニューロンが障害されるため、自分で筋肉を動かすこと(随意運動)が難しくなります。
しかし、心臓や胃腸の動きなど普段自分で意識しなくても動く運動(不随意運動)をコントロールしている自律神経には影響がありません。また、感覚を伝える知覚神経には障害が生じないので、しびれや痛みなどの感覚障害を生じることもありません。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)によって起きる症状
ALS(筋萎縮性側索硬化症)が進行すると、筋肉の衰えによって以下のような症状が現れます。
- 手足の麻痺による運動障害および筋肉の萎縮
- 言葉が不明瞭になる(構音障害)
- 飲み込むことが難しくなる(嚥下障害)
- 呼吸が苦しくなる(呼吸困難)
症状の程度、組み合わせ、出現のタイミングや進行は、患者さんによってさまざまです。
診断
- 神経内科専門医による神経学的診察
- 針筋電図、神経伝導速度検査など専門的な検査
- その他血液検査や画像検査など
よく似た症状を出す他の病気との鑑別診断が必要になりますので、当院では連携病院の神経内科と相談しながら慎重に診断します。
治療法
少しずつ病気の解明が進んでいますが、残念ながらALSの根本治療法はありません。
現在、国内では以下の薬剤がALSの進行予防薬として承認されています。
- 内服薬:リルテック(リルゾール)
- 点滴:ラジカット(エダラボン)
その他、症状に応じての治療を行います(対症療法)。
治療法については、神経内科専門医とよく相談してください。
リハビリによって筋肉を維持することが大切です
根本的な治療法はありませんが、リハビリテーションは状態の悪化を緩やかにする助けになります。筋肉は使わないとどんどん弱くなり(筋萎縮)、また筋肉の動きに必要な関節も固くなっていきます(関節拘縮)。生活の質を維持するためには、筋萎縮や関節拘縮予防するためのリハビリテーションは有効です。
ご家族や知り合いにALSの診断、治療、リハビリテーションについてお困りの方がいらっしゃいましたらお問い合わせください。また、当クリニックでは、介護相談も行っております。